夜のスキンケアは日中に蓄積されたダメージを回復することが目的なので、じっくりと時間をかけて栄養を肌に届けるための下準備が必要です。そのため、朝よりもスキンケアの時間をかけて丁寧に行うことがポイントとなります。特に、角質ケアは夜にこそ行ってほしいケア方法です。角質は溜まりすぎると肌をゴワゴワさせるやっかいなものというイメージですが、実は外部の刺激から肌を守る重要な役割があります。肌は、角質層と皮膚の表面にできた皮脂膜のバリア機能によって外部からの刺激や異物の侵入から守られているのです。そのため、朝に角質ケアを行ってしまうと、夜寝ている間に形成された肌バリアを根こそぎ奪い取ってしまい、外部からの刺激に対して肌の免疫力が著しく低下してしまいます。朝に角質ケアを行うことは肌を外部刺激から無防備にしてしまうためおすすめできません。
一方で、肌は刺激や乾燥を感じると、自らを守るために急いで角質細胞を作ります。十分な時間をかけずに作られた未熟な角質細胞は保湿効果が低く、肌に必要な水分量を保てないため乾燥を止めることができません。すると、角質細胞は乾燥を防ごうとさらに増産され、未熟な細胞で角質の厚みだけが増えていってしまいます。こうした状態の肌はバリア機能もうまく働かないため、ちょっとした刺激にも反応する敏感肌になります。そのため、日中に蓄積された未熟な角質や古くなって役目を終えた角質は、外部からの刺激がない夜に取り除くことが必要なのです。余分な角質をきちんと取り除いておくことで正常な新陳代謝が促進されます。
夜の保湿ケアは朝の土台を作るためにも非常に重要です。夜のうちにしっかり保湿しておかないと、朝起きたとき肌が乾燥した状態になってしまいます。肌が乾燥していると、肌本来の弾力が失われ、シワが目立つ肌に。化粧ノリも悪く、化粧崩れの原因ともなります。朝の肌のコンディションを整えるためにも、夜の保湿ケアを徹底しておくのが大切です。化粧水を付ける前にオイルを付けることをブースターオイルといいます。肌が乾燥して固くなっている場合、化粧水などが浸透しにくくなるので、オイルで肌を柔らかく整えてからスキンケアをする方法です。乾燥が気になる場合はブースターオイルも活用してみましょう。
夜に行うスペシャルケアとしてパックがありますが、パックをするときは、説明書に記載してある使用方法と使用時間をしっかり守ることが大切です。くれぐれもパックしながら寝てしまうことは避けましょう。パックの水分は時間がたつと乾燥してしまいますが、乾燥したパックを肌に乗せておくと、肌から水分を奪ってしまう恐れがあります。また、長時間肌細胞が水に浸されたような状態になるため、ふやけてしまって、美容液などの美容効果がうまく浸透しなくなってしまいます。何事もやりすぎは禁物です。夜のスキンケアは日中に受けたダメージ回復を意識して行いましょう。
夜のスキンケアの順番は、クレンジング、洗顔、ブースターオイル(アルガンオイルやシェイクオイル)、化粧水、美容液、乳液・クリームの順番がおすすめです。まずしっかり汚れを落とし、ブースターオイルで肌を柔らかくしてから水分、美容成分を補い、油分で閉じ込めます。また、スキンケアの後、寝るまで時間がかかる場合は、寝る前にもう一度乳液やクリームを乾燥しやすい箇所に重ね塗りしておきましょう。特に年齢の出やすい首元や目元、口元におすすめです。