1.植物由来の美容成分を含む
オーガニックコスメの原料となる作物は、化学肥料や農薬を使用せずに栽培されるのが特徴です。そうして栽培される作物の育つ土には多くの微生物がおり、その土で育った植物にはポリフェノールやフィトケミカルなどの植物由来の栄養素がたくさん含まれていると考えられています。ポリフェノールやフィトケミカルは肌本来が持つ美しさを引き出すとされている栄養素です。
オーガニックコスメには自然の成分が使われているため、「肌にやさしい」というイメージを持っている人が多いかもしれません。しかし、自然由来のものすべてが肌に合うとは限りません。自然由来の成分は構造が複雑なため、科学的に解明されていないものも数多くあります。肌への作用については、原料となる植物が元になります。使用前にはどのような働きを期待できるのか、あらかじめ理解しておくとよいでしょう。
一般的な化粧品は、化学的に合成した原材料を使って肌の機能性を高めるのが目的です。肌の悩みにすばやくアプローチできるのは、一般的な化粧品のメリットです。一方、オーガニックコスメは植物の力を借りながら、人の身体が持っている自然治癒力を高めて美しさを引き出そうとするものが多くなっています。自然治癒力にアプローチするオーガニックコスメの場合、効果を実感できるようになるまでには一定の時間がかかります。肌の悩みに対する即効性は一般的な化粧品のほうが勝るといえるでしょう。
また、オーガニックコスメは希少性の高い材料を使って時間をかけてつくられていることから、価格の面でも一般的な化粧品に比べると高価なものになりがちです。コストパフォーマンスを重視する人や肌の悩みをすぐになんとかしたいと考える人には、あまり向いていないかもしれません。他方、肌が本来持っている美しさを引き出したいと考えている人や、天然の植物成分で肌の調子を整えたいと考えている人には向いているでしょう。オーガニックのハンドクリームもすぐに何らかの効果を実感できるものではありませんが、使うほどに調子がよくなることが期待できます。
2.購入を通して社会貢献ができる
サステナビリティという言葉を聞いたことはあるでしょうか。サステナビリティとは、環境や社会、経済の3つの視点から世の中を持続可能なものにしていくという考え方のことです。従来環境や社会面を考慮することと経済的なリターンを得ることは相反するものであると考えられてきました。しかし、経済が成長するにしたがって短期的に利益を追求するのではなく長期的に企業や社会が存続していくための方針が求められるようになりました。
オーガニックコスメのオーガニックという考え方も、基本的には同じ考え方です。安全や安心、環境への意識の高まりにつれて社会貢献に配慮した製品が注目を集めるようになっています。日本には有機農法で栽培した作物につけられる有機JASマークというものがあります。有機JASマークは、その作物を栽培している畑で3年以上化学合成された農薬や肥料を使用せずに栽培された農産物にだけつけられるものです。
原料を有機栽培すると、農薬や肥料の使用を抑えられるので環境への負荷を減らすことができます。化粧品にはまだ有機JASのような認証はありませんが、ヨーロッパなどの海外ではオーガニックコスメの認証制度が確立されており、製造過程でも環境や生物への影響を最小限に抑えた製品をつくるための努力が続けられています。
そのほかにも、工場の電力を風力や太陽光などの再生可能エネルギーで確保したり、排水の管理をしっかりしたりするといったさまざまな取り組みが行われています。オーガニックコスメを使うことは自分だけでなく同時に社会をよくするものであることから、間接的に社会貢献につながるといえるでしょう。